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交尾中のマルガタゲンゴロウ
マルガタゲンゴロウです。ハイイロゲンゴロウが汚い水場でも平気で多産するのに対し、彼らは比較的きれいな止水域に生息します。 分布は広いのですが生息密度も高くないので、見つけるのはそんなに容易ではないでしょう。
マルガタゲンゴロウ
カラーリングや質感がとてもきれいなので、どちらかといったら女の子好みのゲンゴロウです。 ですか。くれてやるならバッグよりこれ。それはどうか。
マルガタゲンゴロウ
ちょん、ちょん、ちょん、と泳ぎます。優雅です。クロズマメなんかはずいぶんわちゃわちゃ泳ぐので、種類によって泳ぎ方も違うのですね。
泳ぐマルガタゲンゴロウ(F1)
ホテイアオイをバックに悠々と泳ぐマルガタゲンゴロウのF1(1世代目)。ちっちゃい。。
マルガタゲンゴロウの正面
日本にはマルガタ属は2種類しか存在しません。北海道、本州、四国、九州には本種が生息し、北海道の北部にはカラフトマルガタゲンゴロウという種類が生息しているようです。
飼育の際は、あまり水温が高いと弱りやすい印象です。
去るマルガタゲンゴロウ
できたら小型種もきちんと個別で飼育してあげましょう。水草もたくさんいれてあげましょう。なにかあるとすぐ隠れる習性を活かしてあげましょう。 せっかく捕まえた(羽化させた)のですから。

水温1度のマルガタゲンゴロウ
16年前の1月、ある土曜日。
冬でもよく観察できるようにと、マルガタを室内に設置した冷蔵ショーケースでハードニング(低温順化、要は冬越し)していたのですが、 今年一番の寒気とのことで、水面が完全に全面凍結しました。 ゲンゴロウは水中生活に特化していますが、お尻をときとぎ水面に出して直接酸素をとりいれなければ窒息してしまいます。なので、この状態では息を吸うことができません。
氷の下のマルガタゲンゴロウ
しかしうまくできたもので、寒くなればなるだけ体の活性が下がって酸素の消費量が下がります。
マルガタは北海道にも同属がもう一種いる、寒さに強い北方種です。真冬の北海道であれば沼も全面凍結するでしょう。僕がはじめて見つけたのも、氷の下でした。
なので、心配をよそにそのままにしておきます。
氷の下のマルガタゲンゴロウ
翌日も水面は全面凍結したままです。昨日のマルガタもまだそのままの位置です。
が、よく見ると半分氷に閉じ込められています。これはまずいかもしれません。 いくら寒冷地に適応したゲンゴロウであっても、迫りくる氷にのんびり閉じ込められて、そのまま安穏と春を待つとは思えないと思ったからです。
そんな呑気なはずはないと。
氷に体半分閉じ込められたマルガタゲンゴロウ
さすがに心配になって氷を割って、下からマルガタを指で触ってみました。すると鈍いながらも反応が返ってきます。生きてはいるようです。
掬い上げようと思いましたが、グッとこらえて、放置しました。
ここで掬い上げて、「危ないところだった」で終わっては、いつまで経ってもマルガタの冬越しのさせ方に胸を張れないと思ったからです。
たぶん大丈夫だと、楽観をかき集めて。
氷に体半分閉じ込められたマルガタゲンゴロウ
その日の夜、ようやく氷が溶けました。しかし自由になったにも関わらずマルガタはそこからほとんど動きません。よく見ると後ろ足が動かないようです。 とても鈍い動きで、どうにか動く前足で水草に捕まってじっとしています。
このままじっとやり過ごして、また元気に動ぎまわれるようになるといいのですが。
僕はもう楽観をかき集められず、ただ悲観を押しのけて。
 

後日談:
数日後、マルガタの姿が見えないので、もしや元気に泳げるようになったのかと期待をよせながら水槽の中をよく探すと、底に配した流木の側にひっそりと沈んで、死んでいました。
写真を撮るにもすでにカビも生えてきているようで、やめました。
冷蔵ショーケースや冷蔵庫などで人工的な寒冷環境をつくって冬越しをさせる場合には、 自然界と違って急な温度変化があったり、身を隠せる比較的水温の安定した大きな沼の底の堆積物に変わるようなものがなかったりすると、ハードニングは文字通りとてもハードなものになるかもしれません。
後に残ったのは、僕へ向かって用意された教訓だけです。

産むマルガタゲンゴロウ
中型種のほとんども産卵床に卵を産み付けます。調子のいいマルガタは爆産します。植物はあっというまに穴だらけです。 これはセリに卵を産み付けているところです。よしよし。
たまご
ぼろぼろのセリにぶらさがっているのは1.5ミリほどのマルガタの卵。
孵化寸前
孵化寸前の卵。目や器官が見えています。実体顕微鏡が欲しいです。
 

マルガタの1齢幼虫
1齢幼虫です。とうとう出ました。えーと。。
変な顔…。
マルガタの1齢幼虫
他のゲンゴロウの幼虫と比べるとやたら変わった姿かたちをしています。知り合いのゲンゴラーたちはこれを異性人とかエイリアンとか言ってました。至極もっともです。 産まれたては体長が5ミリくらいしかなく、口もとってもちいさいのでミジンコ食がメインのようですが、飼育下ではものすごい数を必要とするので現実的ではありません。 代わりにブラインシュリンプや冷凍アカムシで育てていますが、そのせいか、うちではちいさめの成虫になってしまいます。
泳ぎ、泳ぎあぐね、それでも泳ぎ、泳ぎたぐり、たぐり通して大切な何かを探します。何か。ブラシュリだったり。冷凍アカムシだったり。
マルガタの2齢幼虫
ミジンコを食べています。エサがエサだし、食事にかかる時間はほんの数十秒です。かぷっ、 もみもみちゅーちゅー、ぽい。上陸するまでにいったい何匹のミジンコを食べるんだろう…。
脱皮してまもない3齢
脱皮して数時間後の3齢です。ほとんどじっとしません。泳ぎ続けます。遊泳大好きです。ミジンコを求めてより広く、より深く。小さな命が志向する探究心。
'03秋、今期しめの幼虫
ヨコエビを捕食中のマルガタ。3齢になるとこんなのも口にします。たまにミズムシも。消化液が弱いのか、終始口をモグモグ。 エサはぎりぎりまで抵抗を続けます。でも食後にカスを捨ててるので体液は吸っているようです。
'04夏真っ盛りの幼虫
冷凍アカムシを捕食中のマルガタ。吸って吸って、アカムシをアコーディオンのように小さく折りたたんで、最後にペラペラを捨てます。慣れたもんです。 ちなみに自分の目線より下のものはめったに食べません。食べるとしても、体を横にして自分から見て上にある状態にして食いつきます。 なので他のゲンゴロウ幼虫を飼育するときと違って、水深浅めは不向きです。足場なくても溺れません。
ターゲットオン
食べる前には充分背中を持ち上げ、首を下げて、斜め上方のミジンコに狙いをすますと、弓が弾けるようにシャパッと捕らえます。 写真はターゲットオンして、まさに食いつく寸前のところです。ものすごくちっちゃいエサなのに、上手に捕獲するものです。
マルガタの3齢幼虫
3齢幼虫です。ちなみに写真のこのコだけは3齢過ぎまで日当たりのいい成虫水槽で飼っていたのでこんがりいい色に焼けて健康的です。 脱皮や成長も一番早かったです。2センチちょい。
マルガタの3齢幼虫
おなかにうっすらと黒い消化器官が見えますね。飼育下でミジンコをメインにこれを太くさせるのはとっても難しいです。 気がつくとシャーペンの芯みたいな細い線になっていて、大変にごめんなさい。 うちみたいにミジンコを自家繁殖できるようなスペースもスキルも持たず、近所で採集するのも難しい場合、冷凍アカムシのような補助食品は必須なのです。
3齢のどでかアップ
でっかい写真ですね、ちょっとやりすぎ。全体像見えません。ごめんなさい。
土繭の中の蛹
土繭の中の蛹です。彼らは土の表面で、まわりを土で囲って蛹になるので、どこに潜っているかが分かりやすいです。 チョビッチョビッと体の節々に短い毛のようなトゲのようなものが生えていますが、幼虫にも成虫にもない、蛹特有のものです。
 

 
羽化した新成虫
マルガタに出会ってはや数年、'02年にようやくはじめて羽化した個体をみることができました。
6月22日産まれの7月26日羽化確認、要した日数は34日間(1齢期間7日、2齢期間8日、3 齢期間12日、上陸期間7日)です。1、2齢はミジンコメイン、3齢は冷凍アカムシメインで育 てました。体長1.4センチのメス。ちょっとちいさいかな。でもおめでとう。
マルガタの羽化データを見たい方はこちらをどうぞ。
エサのミジンコ
マルガタの幼虫を育てるさいに、エサのメインとなるミジンコ類です。名前は分かりませんが、左が一番食いがよく、右にいくにしたがって食いが悪くなります。 一番右は最初にちょこっと噛みついただけで、以後はほとんど見向きもしませんでした。それぞれの相対的な大きさは、ほぼ画像通りです。

 
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