of Cybister chinensis
虫のネーミングに関して、僕はおおむねがっかりすることが多いのですが、この[ゲンゴロウ]というのは溜め息がでるほど素敵です。
いったいどこの誰がつけたんでしょう。素敵です。心の底から拍手喝さいを。感無量です。
[ゲンゴロウ]という名前の由来にはいくつか言い伝えがあるそうです。なんだったか忘れちゃいましたけど…。
なんでしたっけ?雲の上から落っこちたんでしたっけ?源五郎侍が。
昔はよくペットショップで売られていましたが、最近はとんと見ないですねえ。
欲しい欲しいと思いはじめてから、実際に採集するまで僕は何年もかかりました。
はじめて網にはいったときのことは今でも忘れません。何年も前から目をつけていたところだった
ので、喜びもひとしおでした。
でもそこもいつまでもつか、開発の波はあるゆるところに侵食してきます。ザブンザブン。
今ではゲンゴロウを見たことや聞いたことがないひともいます。
トウクロウ(*1)が忘れられていくように、 彼らも薄ぼんやりとした闇の方に向かって、ひとびとの記憶や生活から静かに消えていくのでしょうか。
トウクロウ(*1)が忘れられていくように、 彼らも薄ぼんやりとした闇の方に向かって、ひとびとの記憶や生活から静かに消えていくのでしょうか。
*1:ガムシの古い愛称
なぜ昆虫が、水の中で生活しているのでしょう。どうして水の中で暮らすことになったのでしょう。
いったいなにがあったのでしょう。水中に適応したのはいつなのでしょう。考えだすと想像は尽きません。
どっちにしろ、水の中で見る姿は、殊のほか綺麗です。
陸地で体を休めるゲンゴロウ。実は、実はというほどでもないですが水陸空どこでも平気です。
泳いで飛んで歩くんです。神は三物を与え給うたのか。というほどのものではないんですが。
ものかげからこそり。上に障害物があって浮力をくいとめられる位置や、頭が影になるところが好きです。
要は隠れるのが大好きなんですね。はい、見えてますよー。
意外と長い交尾器がにょっきりでると、それは3本です。左右で挟んで、あとはかっちり真ん中で勝負。
勝負中。そりゃあ。3本なのがよく分かりますね。ぴったりフィットなすごい仕組み。
食後すぐ迫られて、精子でお腹を圧迫されたのか、エサを戻してしまいました。オスはがむしゃらです。鬼畜です。
あ、メスは交尾のあとも元気ですよ、念のため。
上とはまた別の年の、交尾シーンのアップ。交接器がびくびくと動いていますね。
不用意にただ撮ってはなんのラベルづけもせずに保管しているので、自分でもこんなものを撮ったことなどまるで忘れていました。。
不用意にただ撮ってはなんのラベルづけもせずに保管しているので、自分でもこんなものを撮ったことなどまるで忘れていました。。
キュウリを食べるゲンゴロウ。左がオス。右がメスです。スイカほどではないですが、キュウリも食べます。ぽりぽり感がたまらないのでしょうか。僕も好きです、キュウリ。
あ、食べたくなってきた。キュウリおいしいですね~。
あ、食べたくなってきた。キュウリおいしいですね~。
冬越し用の外水槽を夜中にこっそりパシャリ。水温15度の10月末、活動量は減りましたが、まだよく泳いでエサも食べます。
冬本番は、まだもう少し先。
ある春先の、やや老いたゲンゴロウ。たぶん3~4歳。おなかの感じがずいぶんと枯れてきましたが、まだまだ元気。
初春と老衰。希望と現実。ね、まだまだ元気でーす。
かかすことなく。変わることなく。あの日が原点。だからずっと。ずっとずっとだ。
ところでゲンゴロウ類の幼虫には、目が単眼(のように見える?)ものと複眼(のように見える?)ものがいます。
また、お尻の呼吸器も一本のものと枝分かれしているものと2種類います。オオゲンはこうです。
獲物に噛みつくとこの2対の大アゴの先から消化液を送りこんで、獲物の体液をすすり取ります。
誤って幼虫に指を噛まれて手術したひともいるようです。気をつけたいものです。
2齢から3齢へ脱皮しているところです。脱皮はアッというまに終わります。
このあいだはまったく無防備なので、時間をかけていられないのでしょう。
上陸期を見間違えて、まだ成長中の3齢を陸にあげてしまったことがあります。
おかしいな、なかなか潜らないな、と思いながら丸20日間絶食させてしまいました。
よっぽどお腹がすいてたんだろうね。
水に戻したときの貪欲さは想像を絶しました。今思い出してもあれは申し訳なかったです。
卵から孵ると2度の脱皮を経て、8センチ前後になるといよいよ上陸します。蛹になるのは水の中じゃないんですね。
普通、土に潜ってから20日前後で羽化するようです。
ゲンゴロウが食用になっていた時代もありましたが、僕も蛹だったら食べてもいいな、と思います。
プリプリです。でもきっと食べません。
'01年、はじめて羽化に成功した4匹のうちの3匹のデータです。あのときは嬉しかったなあ。
1. 6月28日に孵化し、7月22日に土に潜り、8月13日に羽化が完成したゲンゴロウのメス(37㎜) です。 誕生してからアカムシ213匹、ヒメダカ29匹、小赤3匹を食し、かかった日数は43日目です。
2. 7月11日に孵化して8月1日に土に潜り、8月21日に羽化したゲンゴロウ(メス)です。 誕生からここまでにアカムシ163匹、ヒメダカ29匹、クロメダカ7匹を食し、41日目にしてお目見えです。
3. 6月26日孵化、7月24日から上陸のタイミングを間違え丸20日間土の上で絶食(T T)、再び水中生活を送り8月20日に再上陸、 ようやく9月10日に羽化。ここまでの総日数なんと76日! アカムシ352匹、ヒメダカクロメダカ合わせて9匹、小赤9匹、死んだクロゲン蛹1匹、死んだクロゲン2齢1匹を完食。
22年前の'02、唯一産まれたオオゲン(♀)の羽化です。
越冬条件があまりよくなかったのでしょうか。この一匹だけです。
6月6日産まれの7月26日羽化確認。要した日数は50日間。
1齢はミズムシオンリー、2齢はミズムシとヒメダカ数匹、ヤゴ一匹、活アカムシ少し、3齢はヒメダカと小赤、活アカムシ少しです。
一匹が無事羽化してくれてすごく嬉しい。
一匹が無事羽化してくれてすごく嬉しい。
'03は、孵化35匹中28匹がウェルカム。いやこちらこそマイプレジャー。
羽化率80%、性差はオス16匹(56.5%)、メス12匹(43.5%)、僕にしてはよい出来でした。ブレス・ミー。たくさん里子に出ていきました。
成育過程の記録はこちら。ゲンゴロウ・繁殖データ。
お世話になっているとよかんさんが、貴重な
晩秋のオオゲン繁殖データを提供してくれました。この場を借りて感謝いたします。
うまく育てれば、こうして時期はずれでも羽化させられるのかもしれませんね。
死んだタガメ5齢幼虫を食べるオオゲンとクロゲン
ゲンゴロウとホテイアオイ