of lethocerus deyrolli
止水系水生生物の食物連鎖構図(ピラミッド型)の頂点に君臨する、泣く子も黙る王者タガメです。
都市部ではまったく見ることができませんが、分散して低密度な生活をするため、場所によってはちらほらと見かけることができます。
繁殖期には街灯にうじゃうじゃ飛来してくるという話も聞きます。
僕も23年前やっとこさ、自力で捕ることに成功しました。
じーっと待ちます。いつまでもじーっと待っています。観察しているには少々ものたりない感もありますが、被捕食者の視点になって見ているとものすごい恐怖を味わうことができます。
いわゆる待ち伏せ型ハンターです。
獲物がカマのような腕に触れようものならバッとものすごい勢いで捕らえて、次の瞬間にはストローのような口でちゅーちゅーと体液を吸っています。 タガメは吸うと同時に消化液を出すらしいので、写真に載っているような金魚でさえ、やられたら一分と持ちません。
僕も昔、死にかけの4齢幼虫を手にとって見ていたら手のひらをチューゥと吸われました。昔コスモスの自動販売機で売っていた、カチンコという火花がスパークするやつがあったのを覚えていますでしょうか? あれをやられたみたいにしびれました。元気な成虫にやられたら…推して知るべし、です。
獲物がカマのような腕に触れようものならバッとものすごい勢いで捕らえて、次の瞬間にはストローのような口でちゅーちゅーと体液を吸っています。 タガメは吸うと同時に消化液を出すらしいので、写真に載っているような金魚でさえ、やられたら一分と持ちません。
僕も昔、死にかけの4齢幼虫を手にとって見ていたら手のひらをチューゥと吸われました。昔コスモスの自動販売機で売っていた、カチンコという火花がスパークするやつがあったのを覚えていますでしょうか? あれをやられたみたいにしびれました。元気な成虫にやられたら…推して知るべし、です。
ちゅーちゅー。吸っています。これを見ると残酷だとかかわいそうだとか言うひとがときどきいます。
確かに心温まる風景ではありませんね。だけどどうというつもりはありませんが、とにかくタガメはこうして生きています。
左がメスで右がオスです。メスは大きいもので体長7センチにも達するようです。ペアで飼育していて共食いが起きた場合、まずやられるのはオスです。特に繁殖期は注意が必要です。メスは力士のように貪欲です。
メスは産卵期が近づくと上の写真のように、お腹が緑色に膨れてきます。これは体長以外での性別の
見分け方にもなります。
交尾は水面と産卵床となる杭上でおこなわれます。オスは杭の上で交尾と卵への給水のため水中と杭上をいったりきたりします。
メスが産卵を終えた後も、卵が産まれる10日間を卵を乾燥させないための給水と、外敵から卵を守るために杭上を行ったり来たりします。かなりの子煩悩です。感動します。
そんなオスをメスが食べています…。ろくすぽご飯も食べないでメスが産みつけた卵にせっせと給水して面倒を見ていたオスの末路です。
去年、3度目の産卵でもう分けるのが面倒臭くなっていたときのことです。共食い中の写真右に写っている杭の上には産卵後まだ一日目の卵が静かに膨らんでいます、決して果たされることのない約束のように。
僕はそっと写真を撮って、それからしんみりしてしまいました。
夕暮れのタガメ。雄大で永遠で、実はほんの一瞬。
'01年7月末の真昼。アブラセミの声。ものすごく大きな青空。限りなく限定された僕の視点。
タガメの卵は気持ち悪いというひとと奇麗だというひとに分かれますね。僕はもちろんあれです(ぽっ)。羽化は卵間でどういう情報交換をしているのか、いっせいに孵化します。
にやり。笑っています。僕も写真を撮りながら笑っています。
―タガメの誕生ドキュメント―
1. メスにふっちゃかされて生きてるのか死んでるのか分からない卵ですが…。 | 2. ぽこんっ。生きてるっつの!! | 3. んしょ、んしょ。体を微妙にくねらせて這い出してきます。外の風が気持ちいい~~♪ |
4. あっ、いけね。中にMDウォークマン忘れた。 | 5. がさごそ。これでよしっ。あ、ポテチも持ってくかっ。 | 6. 今度こそよいしょよいしょ。 |
7. おりゃあ。←(手が表に出せたときの雄たけび) あ、ウォークマンとポテチ落っこどした…。 | 8. ぽちゃん。ティッシュの上じゃあれなので水の中に入れてあげました。 | 9. しばらくすると体に縞模様が現れてきました。おめでとう、幼虫の誕生です!パチパチパチ |
集団飼育中の2齢幼虫です。ゲンゴロウと違って齢期が同じなので、管理が楽です。
3齢がヒメダカを捕食しています。そういえばゲンゴロウのように完全変態をとらないので、幼虫は羽がないだけでタガメ成虫と同じです。
あ、同じじゃないや。前肢の爪がまだ一本ずつで、2本になるのは成虫になってからです。
3齢が4齢へと脱皮するところです。体がもう半分くらい表に出ていますが、よく見るとまだお尻の方はほとんど残っています。ということは、ふむふむ、なるほどねェ、体が伸びているんですね。
体の細かい蠕動(ぜんどう)運動と膨張する勢いを利用して表に出てくるようです。うまくできてるなあ、感心感心。
脱皮がうまく成功してまだ数分の、ほやほやの4齢です。
同じく脱皮がうまく成功して間もない5齢幼虫です。あと一度の脱皮でオトナです。
同じ5齢幼虫同士ですが、左は体色が赤茶っぽくなっています。羽化が近いんですね。
ウェルカム新成虫。
翌日、上記の赤茶色をした5齢が羽化しました。なんだかプラモデルみたいに見えますが、本物です。
知るひとぞ知るチョコエッグのおまけのタガメは、実は羽化直後のそれがモデルなんじゃないのー、とひそかに僕は疑っています。
羽化したばかりの新成虫。懐中電灯の灯かりに照らされて、味わい深い色です。